2026年2月18日(水)、佐用町・笹ヶ丘荘にて、2026年度2月例会を開催しました。
公開例会として設えた本例会では、同志社大学商学部より関智宏教授をお招きし「地域の未来をつくる中小企業」をテーマとした講演会を実施。地域に根ざす中小企業が果たすべき役割や、企業が社会とどのように向き合うべきかなどについてお話しいただきました。
メンバーはもちろんのこと、佐用町長・江見秀樹さまや、佐用町商工会長・古川貢さまをはじめ、事業者の皆様や、商工会・自治体職員など、約20名のゲストの皆さまにご臨席いただき、対内外ともに学びの多い例会となりました。
講師プロフィール

関 智宏(せき ともひろ)氏
– 同志社大学商学部 教授、同志社大学中小企業マネジメント研究センター センター長
中小企業の持続的発展や企業家活動(アントレプレナーシップ)を専門とし、理論と実践の両面から日本の中小企業経営を研究している。20年度には英国オックスフォード大学・現代日本研究所の客員研究員として国際的視点から中小企業の強みと課題を分析。企業が社会的価値を創造し地域の持続に貢献するプロセスに関する研究で高い評価を得ている。
「地域の未来をつくる中小企業」講演レポート

本講演では、近年注目される「アントレプレナーシップ(起業家精神)」の再定義から始まり、地域に根ざす中小企業の本質的な役割、そして企業と社会との関係性について、理論と実例を交えながらお話しいただきました。
世の中では “スタートアップ” “資金調達” “急成長” といったキーワードが先行しがちですが、関教授が強調されたのは、起業とは単なる成長競争ではなく、「社会をより良くするための行為」であるという視点です。
また、日本の企業の大多数を占める中小企業こそが、地域経済だけでなく、社会の持続性そのものを支えている存在であることが、多角的に示されました。
講演のポイント

1. 起業は“精神”ではなく“行為”である
日本ではアントレプレナーシップを「起業家精神」と訳し、意欲や志といった個人の属性として語られることが少なくありません。しかし、意欲があっても行動に移さなければ社会は変わりません。
世界の研究潮流では、アントレプレナーシップを「起業するという行為」として捉える考え方が広がっています。重要なのは「思い」だけでなく、「実際に動き、形にすること」。
そしてその行為は、何らかの“望ましい社会像”の実現を目的としているべきだ、という問いが提示されました。
2. ビジネスは「何のためにあるのか」を問い続ける
資金調達や上場がゴールのように扱われる風潮に対し、関教授は「それは手段に過ぎない」と指摘されました。
- なぜこの事業を行うのか
- 誰のためのビジネスなのか
- どんな社会を実現したいのか
こうした問いを持たずして、持続的な経営は成り立たないというメッセージは、多くの参加者にとって改めて原点を見つめ直す機会となりました。
3. 中小企業は“社会の主役”である

日本の企業の約99%以上が中小企業であり、雇用の大部分を担っています。これは単なる数字ではなく、経済社会を支える基盤そのものです。
しかし一方で、「規模が小さい」「給料が安い」といったイメージが先行し、その本質的な価値が十分に認識されていない現状もあります。
企業の本質は、
- 事業を継続する存在であること
- 社会の公器として機能すること
地域で事業を続けること自体が、雇用の維持や地域経済の循環、さらには暮らしの安全・安心にもつながっています。
中小企業は“残っている存在”ではなく、“必要とされ続けてきた存在”であるという視点が強調されました。
4. 社会全体の理解と行動が必要
中小企業の価値を高めるのは、経営者だけではありません。
市民、行政、メディア、教育機関など、企業を取り巻く社会の側にも責任があります。
「大事だ」と言うだけではなく、理解し、応援し、行動すること。
社会全体が中小企業を正しく認識することが、地域の持続性を左右するという提言も印象的でした。
まとめ


起業とは、単なる挑戦や成長競争ではなく、「望ましい社会を実現するための行為」である。
そして、中小企業は規模の大小ではなく、地域社会を支える不可欠な存在である。
今回の公開例会は、地域で事業を営む意味、そして地域で活動する私たち自身の役割を改めて見つめ直す時間となりました。
ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。今後も西播磨青年会議所は、地域の企業とともに、持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。
文責:西播磨発掘委員会 重田 直人
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